Trio2019 / Shin-ichiro Mochizuki, Miroslav Vitous, Shinya Fukumori はもう聴いていただけたでしょうか。このアルバムにはBill Evansの"Waltz for Debby"をアレンジした演奏が収録されています。(5拍子のアレンジになっているのでもはやWaltzではなくなってしまいましたね。。)
ところで、オリジナリティの強いアルバム中にこのようなカバー曲を収録するのはどうなのか?という意見はスタッフの間でもありましたし、聴いてくださったリスナーのかたもそう思ったかたはいらっしゃったことでしょう。
でも実はこれ、どうしてもわたし自身の収録したい気持ちが強くて押し切りました。
2000年代くらいから、よくあるピアノとベースの関係性が変わったように思います。おそらく、コンテンポラリースタイルのジャズが増えて、そもそも楽曲が複雑になってきたのです。昔の白人系ピアノトリオは、シンプルなジャズスタンダードをモチーフにしながらも即興演奏の内容が複雑で、とくにピアノとベースの音域の交差のしかたが複雑だと思いました。ベースが攻撃的にハイポジションに攻めあがってきてはピアノの音域を侵食します。それを醍醐味としていたリスナーも多いのではないでしょうか?スコット・ラファロとビル・エバンスの関係性、キース・ジャレットとゲイリー・ピーコックの関係性、チック・コリアとミロスラフ・ヴィトウスの関係性、エンリコ・ピエラヌンチとマーク・ジョンソンの関係性、そういうのが垣間見えるジャズの演奏って最近は減ったと思いませんか?
私は攻撃的にジャズスタンダードを演奏するMiroslavに再会したかったのです。そしてそのようになりました。私は彼とレコーディングしたとき、自分が聴いて育ってきた音楽に再会しました。十代のころから頭の中でシミュレーションしていたピアノとベースの関係性が現実世界で再現するのを実感しました。
この録音はファンサービスであり、"ファン"とはジャズファンである私自身も含みます。
Shin-ichiro Mochizuki: piano
Miroslav Vitous: contrabass
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