いくらか時間が経ってしまったが、沢田穣治さん(bass)のことを少し記録しておきたい。
告白すると、僕は穣治さんとの初共演が迫ってくる日々、心待ちにしながら、恐怖もしていた。
能力が追い付かな過ぎて、もし怒られてしまったらどうしよう、とか。
ピアノがご機嫌斜めだったらどうしよう。ぜんぜん鳴らなかったら、調律がおかしかったら、穣治さん怒り出すんじゃないか、とか。
尊敬しているとか言いながら、僕はこの人のことをぜんぜんわかっていなかった。
こんなにわからないこともそうそうない。
異次元にいる人、それは知ってる。しかし、どういう形でその異次元のポジションに立っているのかさっぱりわからない。どうやってそこまで歩いて行ったのか?そこから、見える景色は?そこから見える僕ら凡人は一体どんな物体なのか?
①超超超芸術思考、
その昔、複数のミュージシャンが曲を持ち合って演奏するライブを見たとき、この人の作品だけ明らかに突き抜けて、言葉のとおり異る次元にいた、そんな印象。
②超超超完ぺき主義、
シンプルな歌の伴奏をしている姿を見たとき、非の打ち所がないサポート、芸術思考と相反するのではないかと思わせる、完ぺき主義な演奏、そんな印象。
意味不明すぎる。
僕はお会いするまで、①と②を両立しているということは、きっとマシーンのような人なんだな、と思い込んでいた。きっと芸術研究さえもシステム化しているに違いない。 そうでないと、やりきれない物量をこなしているんじゃないか。そうでないと到達できないところへ向かって。。。
僕はとんでもない勘違いをしていた。 実際は、人間や音楽を敬い愛し続けるそのエネルギーが、彼を異次元に浮上させているんだ、ということ、共演してやっとわかった。
(ステージの下から見上げてるときに、ミュージシャンのことをこんなにもわからないことはないです。。。玄人同士なんだから)
上で使ったマシーンとか完ぺきとかいう単語がバカバカしくなった。
アホなことを書きます。
アクセントを合わせる、キチンとクリックに合う音楽、コード記号をちゃんと守る、当たり前のこと、ちゃんとした水準の音楽をやるために、どんなにうまくなっても、そういうことに労力は使います、使わざるを得ません、、、でも、、、なんだか、そういう当たり前のことを、この人との演奏中には忘れさせられてしまったような気がした。
機械的に正しいタイム?
指定したコードの意味?
何を言ってるのかね、君?(笑)
正解ってなんだね?
クールなものを聞かせれば、それでいいでしょ?
クールなものが 聞こえてきたらクールなもので返せば、それでいいでしょ?
そんな風に言われた錯覚が起きた。
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